Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。

【痩せる薬】体重を減らして寿命を伸ばすかもしれない薬 メトホルミン (アップデート 2018)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5943638/

 

メトホルミン(商品名:グリコラン、メトグルコ)は、60年以上の使用実績があり、安全性、費用対効果に優れていることから、世界のほとんどの国で糖尿病治療の第一選択薬となっています。

 

作用機序は長い間不明でしたが、運動やカロリー制限でも活性化されるAMPキナーゼという筋肉の中にある酵素を活性化することがわかりました。少し違いますが、私はわかりやすさを優先して「運動したのと同じような効果」がある薬と説明しています。

 

最近では、腸内細菌を酪酸産生菌優位に変化させ、GLP-1を増やしたり、腸内の抗酸化力を高めたりすることが明らかになりました。また、酪酸のおかげで腸内の酸性度が高まり、ミネラルの吸収も良くなります。ほかの糖尿病治療薬に、腸内細菌を変化させる作用はありませんので、非常に特殊な作用といえます。

 

帰国直後に依頼されて書いたムックにも書いたのですが、メトホルミンは世界の一流誌で、アンチエイジング効果のある薬として、レズベラトロールなどとともに紹介されました{de Cabo, 2014 }。おそらく、疑似運動効果に加えて腸内環境の改善が、抗老化、寿命の延長に貢献しているものと思われます。

一般に、糖尿病患者は、10年くらい寿命が短いのですが、メトホルミンを投与された70歳代の糖尿病患者は、健常者よりも15%死亡率が低いというデータがあり、たしかに、寿命を延ばす可能性はありそうですね。

http://www.cardiff.ac.uk/news/view/45575-can-people-with-type-2-diabetes-live-longer

また、1日500mgのメトホルミンが、消化器系のがんの発生率を半分程度に低下させるという報告もあります。(BMC Cancer 2011 Jan 18: 11(1):20 免疫器官が集中する腸の状態を改善するのは、免疫系にとっても重要といえます。

そういった背景から、アンチエイジング薬としてのメトホルミンの効果を確かめる研究 TAME (Targeting Aging with Metformin)  が予定されています。

65歳から80歳の健常者に対して1500mgのメトホルミンを投与して、アンチエイジング効果を見るデザインです。

http://regist2.virology-education.com/2017/8Aging/02_Justice.pdf 

GLP-1注射と比べるとささやかですが、糖尿病患者においては体重減少効果が証明されており、少なくとも、これに伴う寿命延長効果はあると思います。

 

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副作用としては、下痢、ビタミンB12の吸収阻害のほか、乳酸アシドーシス、ミトコンドリアへのダメージなども指摘されており、特に妊娠可能年齢の女性には使わないほうがよいという意見も。結構みかけるPCOS(polycystic ovary syndrome)では治療に使うのですけどね。

実際のところ、他の医師が処方したものも含め、少なくとも数千例はメトホルミン投与例をみてきましたが、消化器症状(下痢など)以外副作用はみたことないです。

学会から適正使用に関するリコメンデーションが出ていますので、これも参考に。

 

総合的に、非常に優れた薬なので、私も糖尿病患者さんに使う場合は、特に理由がない限りは第一選択薬になっています。

クリニックで肥満治療目的でGLP-1注射と併用することも検討していたのですが、単純性肥満に使ったデータが無いため、現時点では取り扱っていません。

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重藤誠 by
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。

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