Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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【FDA】脂肪吸引の合併症

FDAオフィシャルサイトよりDecide for yourself whether you are willing to take the risks involved in liposuction.

脂肪吸引をするのであれば、自己責任で行ってください
Don’t believe that complications “only happen to other people.”

自分には合併症は起こらないなどとは考えないでください
合併症

•感染症:細菌感染は外科手術につきもので、壊死を起こしたり、毒素によるショックで死んだりする可能性があります。
•脂肪塞栓症:脂肪のかけらが血管に入り、脳や肺に飛ぶと命に関わります。
•内臓傷害:脂肪を吸い出すための管が、内臓に当たると致命的なことがあります。
•漿液腫:脂肪を吸い出した空間に、血清が貯まることがあります。
•神経圧迫、感覚障害: 麻痺、痛覚の増強、消失が、永続することがあります。
•腫脹:腫れが数週間から数か月、引かないことがあります。
•皮膚の壊死: 脂肪吸引をした部位の皮膚が壊死し、色が変わったり剥げ落ちたりすることがあります。
•やけど: 超音波などを使った場合にやけどすることがあります。
•体液バランスの崩れ:術中に大量の体液を失うため、輸液をされます。肺に水が溜まったり、腎障害が起きたりします。
•麻酔薬の毒性:大量のリドカインを注射されるため、立ちくらみ、いらつき、眠気、耳鳴り、呂律が回らない、味覚障害、味覚消失、筋肉の痙攣、てんかん、心停止などをおこします。

          

脂肪吸引での死亡率

多くの報告がなされていますが、どの研究も不完全で、脂肪吸引での死亡事故がどの程度の頻度で起きるのかは不明です。

いくつかの調査では100,000件の手術につき3例の死亡事故があるとしていますが、100,000件中、20100例の死亡事故があったとする報告もあり、同時期に行われた他の手術と比べて高かったとしています。交通死亡事故は100,000人に対し年間16件というのを参考にして、多いか少ないかを判断してください。

最後に、脂肪吸引は死亡を含む深刻な合併症を起こしうる外科手術であることを忘れないでください。
以上FDAのサイトを和訳、要約。

日本で年間何件の脂肪吸引が行われているのかさえ不明ですが、侵襲の大きい外科手術なので、合併症はかなりの確率で起こっているはずです。

脂肪塞栓は多かれ少なかれ必ず起こりますし、血管を吸い込むので、皮膚が壊死する可能性も納得できます。循環器系への負担は半端ではないはず。

死亡事故として、脂肪塞栓や、肝臓の一部を吸ってしまったなどというのは内科の私も聞いたことがあります。
FDAも言っていますが、死亡した人も「自分にはそんな事故は起こらない」と考えていたはずです。

検討している人は多いようですが、0.1%という数字をよく考えてから決断してください。
脂肪を切り取っても、インスリン抵抗性などの指標は改善しません

あと、脂肪吸引後はリバウンドしないと勘違いしている人がいますが、残念ながらするので、そのへんも考慮してください。

この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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