2022年2月2日
カロリーを30%減らすとアカゲザルの老化が遅れるという有名な研究がありますが、今回、2施設間(National Institute on Aging (NIA)121 monkeys; University of Wisconsin Madison (UW) 76 monkeys)での研究を解析したものが発表されました。
カロリー制限は寿命を伸ばすかどうかについては、NIAは伸ばさない、UWは伸ばすという立場だったようですが、今回、その結論が出ました。
いずれのグラフもカロリー制限群(赤)が対照群(青)と比べ、生存率が高く、インスリン抵抗性が低く、癌にもなりにくいという結果になっています。
心血管障害は、NIAだと上昇、UWでは低下になっていますが、人間での研究において、カロリー制限が体重、体組成、糖代謝に影響を与えて心血管障害リスクを下げることがわかっています。
グラフは赤がカロリー制限、青が対照群。
対照群だと10歳ごろから死亡率が上がり、数が減っているのに対し、カロリー制限をするとその時期が遅れるのがわかります。
http://www.nature.com/articles/ncomms14063
食事の内容は、2施設間で結構異なっており、NIAでは自然の食品を用いているのに対し、UWではいわゆる加工食品となっており、NIAのほうが低脂肪、高繊維な健康的な組成になっています。
現代人は、むしろUWに近い食生活だと思われますが。
Diet component | NIA | UW | |||
---|---|---|---|---|---|
Control/CR (% by weight) | Nutrient sources | Control (% by weight) | CR (% by weight) | Nutrient sources | |
Protein | 17.3 | soybean and fish meal | 13.13 | 13.13 | lactalbumin |
Carbohydrate | 56.9 | wheat, corn, sucrose (6.8%) | 60.92 | 58.31 | corn, sucrose (45%), dextrin |
Fat | 5.0 | soy, corn, fish oils | 10.6 | 10.6 | corn oil |
Fibre | 6.5–9.0 | cellulose | 5.0 | 5.0 | cellulose |
Vitamins | ∼140% RDA | 100% RDA | ∼130% RDA | ||
Calories kcal g−1 | 3.9 | 3.9 | 3.8 |
いずれにしても、特に中年期以降のカロリー制限により、寿命が伸び、脳梗塞、心筋梗塞、癌などの病気にかかりにくくなることは、確実と言ってよいでしょう。
GLP-1を使って食事の量を減らしても、同様の効果が期待できます。