Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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カロリー制限で健康長寿になることが確定

カロリーを30%減らすとアカゲザルの老化が遅れるという有名な研究がありますが、今回、2施設間(National Institute on Aging (NIA)121 monkeys; University of Wisconsin Madison (UW) 76 monkeys)での研究を解析したものが発表されました。

カロリー制限は寿命を伸ばすかどうかについては、NIAは伸ばさない、UWは伸ばすという立場だったようですが、今回、その結論が出ました。

いずれのグラフもカロリー制限群(赤)が対照群(青)と比べ、生存率が高く、インスリン抵抗性が低く、癌にもなりにくいという結果になっています。

心血管障害は、NIAだと上昇、UWでは低下になっていますが、人間での研究において、カロリー制限が体重、体組成、糖代謝に影響を与えて心血管障害リスクを下げることがわかっています。

グラフは赤がカロリー制限、青が対照群。

対照群だと10歳ごろから死亡率が上がり、数が減っているのに対し、カロリー制限をするとその時期が遅れるのがわかります。

http://www.nature.com/articles/ncomms14063

食事の内容は、2施設間で結構異なっており、NIAでは自然の食品を用いているのに対し、UWではいわゆる加工食品となっており、NIAのほうが低脂肪、高繊維な健康的な組成になっています。
現代人は、むしろUWに近い食生活だと思われますが。

 

Diet component NIA UW
Control/CR (% by weight) Nutrient sources Control (% by weight) CR (% by weight) Nutrient sources
Protein 17.3 soybean and fish meal 13.13 13.13 lactalbumin
Carbohydrate 56.9 wheat, corn, sucrose (6.8%) 60.92 58.31 corn, sucrose (45%), dextrin
Fat 5.0 soy, corn, fish oils 10.6 10.6 corn oil
Fibre 6.5–9.0 cellulose 5.0 5.0 cellulose
Vitamins 140% RDA 100% RDA 130% RDA
Calories kcal g−1 3.9 3.9 3.8

いずれにしても、特に中年期以降のカロリー制限により、寿命が伸び、脳梗塞、心筋梗塞、癌などの病気にかかりにくくなることは、確実と言ってよいでしょう。

GLP-1を使って食事の量を減らしても、同様の効果が期待できます。

 

 

 

この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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