Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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【自論】食欲は3種類ある

食欲は複雑なメカニズムによって起こっており、現在も全くと言ってよいほど解明されていません。
とはいえ、食欲とつきあうには知識があったほうが良いのは間違いありません。
食欲について自分なりに理解していることを書いてみます。

1. 生命維持のための食欲
 生きるために最低限必要なエネルギーを摂取するための機能です。これを無理に抑えようとしたり、強いストレスなどでここが壊れると、摂食障害という状態になります。摂食障害では餓死に至るケースもあり、絶対にこの食欲を抑えようとしてはいけません。

2. 視覚誘導型食欲
 目の前に食べ物があるだけで、食欲は刺激されます。また、テレビや雑誌などで料理などを見てもこの食欲が刺激されます。減量するのであれば、最も重点的に抑える必要のある食欲であり、手の届く範囲に食べ物を置かない、無駄に料理番組を見ないなどを意識すれば、かなり効果があります。ちなみに、我が家にはテレビを置いていません。

3. ストレス変換型食欲
 精神的、物理的問わず、ストレスは交感神経を興奮させ、体を緊張状態にします。ものを食べることで、強制的に副交感神経が優位になり、多かれ少なかれ体の緊張が解除されるため、脳は強い食欲を出すことでストレス反応を緩和しようとします。強い緊張のあとの空腹感はこのためです。ストレスホルモンも食欲を刺激するものが多く、慢性的なストレスが続くと問題が起きてきます。現代社会でストレスを避けるのは不可能ですが、精神的ストレスは起こったことに対する受け取り方でかなり違いますので、思考のトレーニングや瞑想が緩和に有効と考えられています。

ストレス変換型の管理は難しいですが、視覚誘導型を減らすのは比較的容易ですので、そこからはじめてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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