Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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空腹感に勝てない理由

なにかを食べたいと頭に浮かんでしまうと、それを食べるまでその欲求はおさまりません。

つまり、一度おこってしまった空腹感は、満腹になるまで止まることはないということです。

ありとあらゆるダイエットを試したのに効果がない、リバウンドしてしまったという方なら薄々気づいていることと思いますが、空腹感こそが、ダイエット失敗の原因になっています。

なぜ、人は空腹感に勝てないのでしょうか?

 

1.意志力では食欲を抑えられない

どうして、ほかの面では驚くほど意志の強い人でも、体重を減らすことがこれほど困難なのでしょうか?

それは、意志力を得るためには、特に糖質を食べなければならないからです。

食欲を我慢するのには意志力が必要なのに、意志力を維持するには糖質が必要

という大きな矛盾があるため、空腹感を我慢するあらゆるダイエットは破綻します。

多くの人が糖質制限に挑戦し、挫折しているのは必然なのです。

2.人間は脳で太る

生命維持のために最適な体重を脳の視床下部が決めており、この体重はセットポイントと呼ばれています。

セットポイント=脳が認識している理想体重と理解できます。

通常、セットポイントは標準体重周辺に設定されていますが、

ストレス、炎症、栄養不足、外部環境などの影響で、セットポイントが上がってしまいます。

つまり、セットポイント>標準体重になると肥満になります。

無理なカロリー制限や激しい運動で脳がストレスと感じてセットポイントが上がり、ダイエット前よりも体重が増えてしまうことになります。

研究でGLP-1はセットポイントがある視床下部に直接作用することがわかっており、GLP-1はセットポイントを下げて体重を減らしているものと考えられています。

この点で、現存する抗肥満薬の中で、最も本質的な治療薬といえます。

他の脳に作用する食欲抑制薬の多くは麻薬系に分類されており、一時的に脳を騙しているだけにすぎないうえ、強力な依存性と強い副作用があるため、使えたものではありません。

 

ストレスが原因で太っているのに、より強いストレスを受けながらダイエットをするのはナンセンスであり、鬱病を誘発することがわかっています。むしろ、無理なダイエットをしたあと大量に食べてリバウンドして発散したほうが、鬱になるよりマシかもしれません。実際、ダイエット後の鬱状態で来院される方は多く、ひどい場合は治療はお断りして、鬱の治療を優先していただいています。

結構な人数を治療してきて実感するのは、GLP-1を使うことで空腹感が無くなるため、ストレス無くダイエットができ、ストレスが無いからリバウンドの心配がないということです。

禁煙外来がタバコをやめるのに有効なのと同様、GLP-1は太りやすい生活習慣をやめるのに有効といってよいと思います。

 

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この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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