食欲を刺激する物質として
研究されている神経ペプチドY(NPY)というものがあります。
NPYの特徴を箇条書きにすると、以下のようなかんじです。
・36個のアミノ酸から構成
・エネルギー収支の調整、記憶と学習などの過程にも関与
・脳内で、神経伝達物質として働いている
・内臓脂肪からも分泌される
・断食で増加
・脳でのNPY生産過剰が摂食障害の一因と考えられている
代謝に与える作用としては
・強力な食欲刺激作用
・血液中のグルココルチコイド(ステロイドホルモン)の濃度を上げる
・インスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)
・脂肪の量を増やす
※ステロイドホルモンも食欲を増やし、インスリン抵抗性、肥満を惹き起こす
つまり、体重を増やす方向に作用するホルモンですね。
さらに、NPY自体がNPYの分泌を刺激する(
Autocrineという生物学では一般的な現象)作用もあるため、
増え始めると一気に増えてしまうようです。
肥満者では、内臓脂肪が増える→NPY増える→脳内でもNPYがNPYを刺激してもっと増える→脂肪が増加→NPYがさらに増える・・・という悪循環の形成が、容易に想像できます。
実際、ある時から急に太りだして止まらなくなる人がいますが、この悪循環が起こっている可能性があります。
NPYを測定することで、減量後のリバウンドが予想できるかもしれないという
研究もあり、総合的に考えると、肥満の悪循環に一役買っているのは間違いなさそうです。
まだまだ不明な点は多いですが、GLP-1は、NPYを抑制する作用があるようで、これが他の薬剤や方法と比較しても、リバウンドが少ない要因だと考えられます。