相変わらず、
サノレックスや
防風通聖散を使ったことのある人が、よく受診されるのですが、ときどき、かなり特殊なものを使っていた方も見かけます。
そのなかで、比較的みかけるロルカセリンを紹介します。
エーザイが開発した薬で2012年にFDAに肥満治療薬として認可されていますが、日本では認可されていません。
セロトニン2C受容体作動薬に分類され、脳内視床下部に作用して食欲を抑え、体重を減少させる薬です。
1日2回投与の薬ですが、2016年には、1日一回製剤が出たようです。https://www.eisai.co.jp/news/news201652.html
このクラスの薬に、心臓弁膜症などの副作用のため、1997年に販売を禁止、回収になったフェンフルラミンがあります。2001年頃に日本で数千人規模で肝障害が起きたニトロソフェンフルラミンも同系統です。
構造はやはり抗うつ薬に近く、弁膜症に加え、精神への影響も懸念されていましたが、1年間の観察ではプラセボと差は無いようです。
効果としては、1年間で
対照群: 2.16±0.14%(1499人)
ロルカセリン: 5.81±0.16% (1538人)
と、有意な体重減少を認め、3.6%程の差がみられています。
まだ歴史が浅いので、長期間使った場合の影響は不明です。
私としては、はっきりいって、お薦めできません。
一部の美容クリニックでは処方しているようですが、当クリニックで扱う予定はありません。