Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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縄文人の主食も炭水化物

糖質制限を支持する医師のなかには、「農耕がはじまったのは、人類史上、ごく最近数千年のことで、20万年以上の間、炭水化物はめったに手に入らないラッキー食材だった」と主張する人がいます。

たしかに、日本でも縄文時代は狩猟中心で、炭水化物をあまり摂っていなかったイメージがありますが、実際は違うようです。

東京大学教授の米田穣教授のグループが、人骨に含まれる炭素と窒素の安定同位体比から、縄文人がどのような食物からたんぱく質を摂っていたかを調査しています。その結果、北海道以外の地域では、摂取カロリーの植物への依存率が圧倒的に高く、肉への依存率は低くなっています。

つまり、縄文人はドングリなどの木の実や、イモ類を主食としており、肉や魚、貝類といった動物性たんぱく質は、思っていたほど摂っていなかったということになります。

すくなくとも、日本人の食事は、縄文時代以前から炭水化物中心の食事だったわけです。

世界の狩猟採集民族をみると、稀にですが、ほとんど炭水化物を摂らない民族もいます。しかし、多くは炭水化物を中心に摂っているようです。実際は、獲物がとれるのはむしろ稀で、貯蔵の効く木の実などの炭水化物で生活を安定させていることが多いようです。

炭水化物は必要不可欠な栄養素ですので、むやみに制限するのは不自然です。

 

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この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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