Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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ミトコンドリアと老化

ここのところ、ミトコンドリアについてリサーチしていました。

 

ミトコンドリアは、細胞の中にあるエネルギー工場です。

老化とともに数が減り、機能も低下することから、ミトコンドリア老化説というものがあります。

ミトコンドリアは、エネルギー工場であると同時に、必然的に活性酸素工場でもあるので、ダメージを受けやすい宿命にあります。

ミトコンドリアがダメージを受けると、ますます活性酸素が出やすくなり、老化が加速するというわけです。

生きている限りは活性酸素が出るため、ミトコンドリアの機能は、年をとるほど落ちてきます。

たしかに、子供のエネルギー量を見ていると、大人との違いを思い知らされますね。

特に、パーキンソン病などの、脳神経機能が低下する病気で研究されています。

すべての病気がミトコンドリアの機能低下が原因とまで言っているひともいます。

 

ミトコンドリアを増やすためには食べすぎないことが重要で、断食も有効です。

また、運動して筋肉量を増やすことも重要です。

高齢者ほど運動が重要なのは、臨床的にも間違いありません。

 

パーキンソン病は、神経細胞の糖の利用障害が原因なので、GLP-1での治療が理論上も有効なのですが、間接的にも食事量が減ることにより、ミトコンドリアの機能を高めて、相乗的に脳機能を改善しているのかもしれないと思いました。

そのへんの論文も検索してみましたが、研究されていませんね。

細胞の中にある小器官なので、研究が難しく、まだ不明な点は多いですが、夢のある分野です。

 

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メモ

主に糖を分解して、細胞のエネルギー(ATP)を産生

呼吸で取り込んだ酸素の90%以上が、ミトコンドリアで消費→細胞を傷害する活性酸素(ROS)の産生場所→老化や病気の原因に

エネルギー消費の大きい脳、筋肉、肝臓、腎臓には大量に存在し、細胞質の約40%を占める

細胞に100-数千個含まれ、体重の10%を占める

糖尿病患者では形態の異常が見られる

ミトコンドリアDNAは母親から受け継がれる

がん組織のミトコンドリアDNAは、正常組織よりも高確率に変異している

ミトコンドリアDNAの情報密度は、核DNAよりも高い

ミトコンドリアDNAは核DNAと比べて不安定で、修復能力も低い

老化マーカー(8-OHdG)の増加は、核DNAよりもミトコンドリアDNAのほうが大きい

ミトコンドリア由来の活性酸素量が少ないと寿命が長い

ミトコンドリアは不飽和脂肪酸に富んでいる→不飽和脂肪酸が活性酸素で酸化されると過酸化脂質に→過酸化脂質がDNAを傷害

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30889315

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30862506

http://sphweb.bumc.bu.edu/otlt/mph-modules/ph/aging/aging3.html

 

この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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