脂質の中でも、特に健康に有害とされているものに、トランス脂肪酸があります。
代表的なトランス脂肪酸として、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングがあります。安価なことに加え、バターなどと違って腐らないことから、つくる側にとって使いやすく、パン、ケーキ、ドーナツ、クッキー、スナック菓子、生クリームなどに多く含まれています。
トランス脂肪酸は、水素添加によって硬化された脂質で、牛肉や乳製品に僅かに含まれるものの、自然界にはほとんど存在しません。
トランス脂肪酸は、摂取カロリーの1~2%摂取しただけで、血中の脂質を大幅に上昇させ、心疾患や突然死のリスクを3倍に高めることがわかっています。
明らかに健康に有害なトランス脂肪酸を排除するため、WHOは2023年までにトランス脂肪酸をなくすという目標を掲げ、心臓病などをへらすための具体策を講じています。
しかし、日本ではトランス脂肪酸の規制に積極的ではないようです。農林水産省は、平成17~19年度(2005~2007年度)に実施した調査研究で、日本人が食品からとっているトランス脂肪酸の1人1日当たりの平均的な量は、0.92~0.96グラムとしており、各国と比較しても多くないことから、トランス脂肪酸の使用に関しては、事業者に任せるという方針をとっています。
実際はというと、日本食品油脂検査協会によれば、食パンに含まれるトランス脂肪酸は平均で9.3%と、菓子パンだと1個で10g以上も含まれていることもあります(参照: 山崎製パン トランス脂肪酸などに関する情報開示)。
日本のパンのほとんどは、マーガリンかショートニングを使っていますので、当然といえば当然です。パン好きな人は、かなりの量を摂取してしまっているはずです。
日本の基準は甘すぎる気がするのですが、ロビー活動的な意味で、これ以上の規制は難しいのですかね。
もはや、消費者が自衛するしかありません。
ヨーロッパのパンは、日本のものと比べて遥かに美味しく、トランス脂肪酸の規制(脂肪の3%以下)があるので、私も家族も結構食べていました。
そのせいか、子供がすっかりパン好きになってしまい、嗜好品として与えています。
日本では、なるべくショートニングやマーガリンが入っていないものを買うようにしていますが、探すのが難しいです。
パン≠食事というのが、食育としてのせめてもの抵抗でしたが、小学校に上がり、パン給食なるものが始まってしまいました。
なかなか思うようにいきませんが、トランス脂肪酸は、摂取カロリーの1%以下くらいにはしておきたいです。
https://www.yamazakipan.co.jp/company/trans_fat/index2.html#q01_6
http://www.fsc.go.jp/fsciis/questionAndAnswer/show/mob20110300006
https://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2015/191/doc/20150519_shiryou6.pdf
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/