Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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コンビニエンスストアとの付き合い方

 

都会であれば数十メートル毎にあるコンビニエンスストア(以下コンビニ)。

 

みなさんも、利用することは多いと思います。

 

最近では、郵便局や銀行の窓口業務までやっています。

多機能の複合機が置いてあり、たまに使う程度なら、自宅にプリンターなどを置く必要がなくなりました。

 

多くは24時間営業なので、普通の店が閉まっている時間でも、たいていのことはできてしまいます。

 

ある程度の規模がある病院には、必ずコンビニが入っています。

24時間、稼働しなくてはいけない病院と、コンビニの相性は抜群です。

 

 

災害時のライフラインとしても優秀なのは、東日本大震災などで証明済みです。

 

本当に便利になりました。

 

 

ただ、便利すぎることによる弊害も出ているように感じられます。

 

特に、生活習慣病の治療をしている私としては、コンビニは健康への悪影響があるという実感があります。

 

今回は、そのあたりについて、思うところを書いてみます。

 

  •  食べ物がいつでも簡単に手に入る環境になった

 

コンビニのおかげで、食品が手軽に買えるようになりました。

お腹が減った状態をがまんする必要はありません。

いつも何かを口にすることができます。

そして、食べ過ぎになりやすくなります。

 

これが問題です。

 

消化は、生物の体にとっては大仕事です。

食べたものを消化するためには、膨大な化学反応が必要になります。

当然、一定時間は休ませてやる必要がありますが、いつも何かを食べていると、その暇はありません。

 

食べる回数が多いほど、摂取エネルギー量が増えることがわかっています。

肥満が増えた原因の一つと考えて間違いないでしょう。

 

古くなった細胞を掃除してくれる「オートファジー」も働かなくなります。

無駄に老化を促進してしまいます。

 

いうまでもありませんが、食べ過ぎは万病のもとです。

 

 

  •  食品の加工レベルが高い

 

そして、その食べ物の質に問題があります。

 

コンビニの性質上、長期間、棚に陳列しておく必要があります。

生鮮食品向きではありません。

 

食品のほとんどが、加工食品になります。

絶対に食中毒を起こすわけにはいきませんので、大量の食品添加物が入っています。

また、味や見た目を良くするためにも、いろいろなものが使われています。

 

それぞれの物質については、安全性が確認されているとされています。

しかし、何種類も同時に使ったときになにが起こるかは、誰にもわかりません。

 

特に、コンビニ弁当は本当に危険です。

コンビニ弁当を食べている場合、それをやめてもらうだけで、おどろくほど体調が改善します。

私も、研修医の時はわりと利用していました。

帰る時間に開いている店がない!

で、7年目のときに本格的に体調が悪くなった時に、コンビニ食品をやめたところ、劇的に体調が改善しました。

 

 

 

 

 

  •  運動量が減る

 

現代人の運動量を減らすのに一役買っています。

わずかな距離であっても、歩けば健康に好ましい効果があります。

コンビニのおかげで、あちこち移動する必要がなくなりましたが。

その分、運動不足になっていることは否めません。

 

  •  睡眠への影響

 

コンビニは、深夜であっても煌々と明かりがついています。

蛍光灯、LEDライトの強い光は、見るだけでメラトニンを抑制します。

メラトニンが減ると、睡眠の質が悪くなってしまいます。

 

 

 

  •  労働者の負担

 

店員さんの健康も心配です。

深夜にあの強い光を浴び続けると、体内時計がおかしくなるはずです。

シフト制としても、影響がないとは思えません。

フランチャイズの仕組みにも問題があります。

ひとり店長で労働基準法が適応されず、休めません。

借金をさせられ、毎食廃棄弁当という生活をして、40歳代なのに体がひどい状態になった人を、何人も診ました。

 

 

 

コンビニができたのは40年前で、一般的になったのは30年前くらいです。

私が子供の頃にはありませんでした。

 

科学的に因果関係を証明するのは難しいですが、日本の全がんの罹患率と、コンビニの普及は、1985年~2010年前後に増加、その後横ばいという、同じ動きをしています。

不規則な生活、加工食品の摂取を推奨するかのような施設です。

健康に対しては、悪影響が大きいと考えられます。

 

24時間営業する必要もないと思います。

イギリスでは、コンビニ自体がありません。

食べ物や飲み物、雑誌を売っている程度のもので、5時には閉まります。

巨大スーパーチェーンのTESCOの一部は24時間営業でしたが、めったにありません。

日本も、40年前まで無かったわけですので、夜間に営業する店は必ずしも必要ないでしょう。

 

 

いずれにしても、これ以上のコンビニは不要です。

 

いくらコンビニを増やしたところで、需要は変わりません。

実際、世界一コンビニが多い日本経済は、この30年、全く成長していません。

 

 

現在の私のコンビニ利用ガイドラインは、

 

○ 原則、食品は買わない(食べてよさそうなものは、素焼きのナッツと冷凍ブルーベリーくらい)

○ 飲み物は水かお茶以外は買わない

○ 緊急時以外は夜中に行かない

 

以上のようなかんじです。

 

シゲトウクリニックが入っているビルの1階にもコンビニエンスストアです。

私が使うことはめったにありませんが、たまに支払いや郵便局の代わりとして使っています。

 

 

便利すぎるものには、代償があるものです。

ただ、どんなに便利であっても、代償が健康というのでは、高すぎます。

 

みなさんは、うまく使ってくださいね。

 

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この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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