Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
https://shigeto-cl.com/

【光陰矢の如し】なぜ歳をとるほど1年が早く過ぎるのか【習慣と時間】

 

歳をとるにつれて、1年があっという間に過ぎるようになります。

 

これは、ジャネーの法則と呼ばれています。

「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」

という考え方です。

歳を取るにつれて自分の人生における「1年」の比率が小さくなります。

そのため、体感として1年が短く、時間が早く過ぎると感じられるようになります。

例えば1歳の時に感じた1年を1/1とすると、2歳の時の1年は1/2となり、1歳の時の2倍速く感じるようになります。

5歳の時は1/5で1歳の時の5倍、10歳の時は1/10と分母である年齢が大きくなるごとに、人生のうちにその1年が占めた割合が少なくなり、体感として時間が短くなったように感じます。

たしかに、30歳を過ぎたころからあっという間に1年が過ぎるようになった気がします。

気が付くとすぐに10年過ぎてしまいます。

人生などあっという間です。

 

なぜ、こういうことが起こるのでしょうか?

 

おそらく、歳をとるほど経験が多くなることが一因と考えられます。

脳は、ものすごくエネルギーを食う臓器なので、できるだけ怠けようとします。

脳はエネルギーを節約するために、一度経験したことを、なるべく意識に上げずに処理しようとします。

つまり、自動化=習慣化するわけです。

意識に上がらないので、時間として認識されません。

一瞬で過ぎたような感覚になります。

 

人間の行動のおよそ40~80%が習慣によるものといわれています。

1日の大半を無意識的な習慣が占めていることになります。

歳をとるほど、習慣的に動いている時間の比率が高くなりがちなのもあるでしょう。

 

このジャネーの法則に抗うための処方箋があります。

 

新しいことに挑戦することです。

 

脳は、経験したことがないことをしているときに怠けることができません。

どんなに小さなことでも挑戦を意識すると、時間の流れが変わります。

 

皆さんに是非やっていただきたいのは、習慣を変える挑戦です。

 

いうまでもありませんが、食べ過ぎ、運動不足、睡眠不足などの習慣は、病気になる可能性を高めます。

逆に、病気は生活習慣の結果ともいえます。

 

自分の生活習慣を見直し、少しでも良い方向に変えてゆくのは、苦痛が伴うかもしれませんが、それに見合う価値はあるはずです。

 

19世紀のアメリカの哲学者ウィリアム・ジェームズの言葉に

 

心が変われば行動が変わる。

行動が変われば習慣が変わる。

習慣が変われば人格が変わる。

人格が変われば運命が変わる。

 

というのもあります。

 

さらに、故日野原重明先生の言葉に、

 

鳥は飛び方を変えることは出来ない。

動物は這い方、走り方を変えることは出来ない。

しかし人間は生き方を変えることが出来る。

 

というものがあります。

 

人間以外の動物は、ただ本能のままに生き、自分の生活をより良いものにしようとは考えません。

生き方を変え、自分の人生をコントロールできるのは人間だけです。

 

 

最後に個人的な経験です。

私も環境を変えた直後は、時間の流れが遅く感じられたのを覚えています。

特に、たったひとりで、しかも、ろくに英語が話せない状態で、イギリスに行ったときの時間感覚が忘れられません。

全く新しい環境に放り出されると、これまでの習慣は意味がなくなります。

なにもかもが新しい経験になるので当然です。

必死で英語を聞き取ろうとして、脳に大きな負荷がかかります。

最初に実験の説明を受けたときは、気が遠くなるくらい時間が長く感じられました。

「いったい何時間過ぎたのだろう」と時計を見たら、20分くらいしか過ぎておらず、目を疑ったのを覚えています。

脳への負荷が大きすぎて、部屋に戻ったらヘトヘトです。

それでも人間慣れるもので、数年過ごすとそれなりの生活パターンが出来上がります。

最初の1年とそれ以降の一年では、明らかに体感の長さが違いました。

ただ、だいぶ慣れたな、と思ったところで結婚したり引っ越ししたりしてからは、また1日が長く感じられました。

子どもが生まれてからの数か月はほんとうに大変で、数年に匹敵するくらいでした。

オックスフォードで過ごした時間は、良くも悪くも永遠に感じられました。

 

帰国してからも、開業して新しい治療をつくってみたり、自分の医療法人を運営しながら基幹病院で一人部長をしてみたりと、好んで前例がないことにチャレンジしています。

敢えて環境を変えることで、新たな出会いがあり、新たな経験が得られます。

普段も、食事の内容、タイミング、回数などを変えてみたり、運動量を変えてみたりと、ちょっとしたことを意識的にやっています。

意外な発見ができることがあり、毎日楽しく過ごせます。

 

私たちにとって、日常生活自体が非常に多忙です。

なんとなく過ごすと、あっという間に一日が終わってしまいます。

だからこそ良い習慣を身につけ、いくつになっても成長できる自分でありたいものです。

新しいことに挑戦し、刺激や変化を取り入れることで、毎日をより充実したものにできるでしょう。

 

一日の積み重ねが1週間、1か月、1年、10年・・・となり、運命を左右する。

 

これを意識するだけでも、時間の感覚が変わる気がします。

皆さんもぜひ、挑戦してみてください。

 

 

 

にほんブログ村 ダイエットブログ 健康ダイエットへ
にほんブログ村

この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
SNSでフォローする
https://shigeto-cl.com/