Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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【コンビニ食】想像を絶する超加工食品の悪影響

 

最近、生活習慣病研究の世界で「超加工食品」(Ultra-Processed Foods)というものが話題になっています。

 

現代人の身の回りには、超加工食品があふれています。

 

米国糖尿病学会の定義では

 

「糖分や塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料など添加物を加え、工業的な過程を経て作られる。常温保存や長期保存が可能。」

となっています。

 

具体的には、

 

スナック菓子(特にポテトチップスは最悪)

菓子パン・総菜パン

カップ麺

多くの小麦+砂糖が入った菓子類(ケーキ・クッキー・パイ・カスタード)

加工肉(ハム・ソーセージ・ミートボール・チキンナゲット)

砂糖入りの清涼飲料

 

などがそれにあたります。

 

つまるところ、コンビニエンスストアに並んでいる食品です。

コンビニエンスストアとの付き合い方

 

先進国に住んでいて、これらを全く摂らないという人は稀でしょう。

 

なにしろ、すぐ食べることができて便利です。

味も、多くの人にとって魅力的につくられており、安心できます。

長期保存が可能なため、販売期間を長くできるので、価格も安いです。

食中毒になる心配がないので、そこに関しては安全性が高いです。

 

この超便利な「超加工食品」が、肥満、2型糖尿病を増やしているという研究が発表されています。

 

超加工食品の多くは非常に柔らかく、あまり噛まなくても食べることができます。

早食いになりやすく、満足感が出にくいので食べ過ぎになります。

 

栄養バランスも問題です。

高カロリー、高脂肪、高塩分なのに、ビタミンやミネラル、食物繊維などはあまり含まれていません。

食べても栄養が満たされないので、食欲にブレーキがかかりません。

 

実際、超加工食品を摂ることで、一日の摂取カロリーが500kcalも増えることが報告されています。

食べるスピードも超加工食品群では早く、体重も2週間で0.9㎏増加しました。

毎月2㎏くらい増える計算です。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31105044/

 

カロリー、PFC(蛋白質・脂質・糖質)バランス は同じに設定しているにもかかわらず、ここまで大きな差が出るのは恐ろしいですね。

 

実際の診療でも、そのくらいの差は出ている印象です。

加工食品中心の食生活をしている人が、自炊に変えるだけで急速に体重が減り、体調が改善します。

 

 

 

超加工食品は、血糖値にも大きな影響を与えます。

 

超加工食品は、精製炭水化物が多いうえに食物繊維が少なく、血糖を急激に上げます。

また、カップ麺やコンビニ弁当などには、サラダ油を中心とした健康に好ましくない油が多く含まれています。

こういった油は、インスリンを効きにくくします。

同じ量の炭水化物を摂る場合、同時に脂質を多く摂った方がインスリンの必要量は増えます。

糖尿病でない人も、膵臓に大きな負担をかけることになります。

当然ながら、糖尿病患者さんの血糖を大幅に上げる原因になります。

 

血糖値を上げるのは炭水化物と思われがちですが、脂質も影響しているのです。

 

さらに、すでに述べたように食べるスピードも早く、量も増えるので食後の血糖は大変なことになります。

 

10万人規模の研究でも、超加工食品が100g増えるごとに糖尿病リスクは5%上昇することが示されています。

 

 

 

また、超加工食品で死亡リスクが上昇することもわかっています。

 

スペインの研究では、

 

超加工食品を1日4サービング以上食べていると、死亡リスクが62%増加!

さらに1サービング増えるごとに死亡リスクが18%増加!

 

という結果が出ています。

 

※サービングとは、通常、1回に食べる量の目安です。

農林水産省のページに詳しい計算方法が載っています。

https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/use/rule.html

 

 

生活習慣にもある種の傾向がみられています。

 

超加工食品を多く食べる人は、

 

間食が多い

1日3時間以上のテレビ視聴をしている

コンピューターの使用時間が長い

脂肪の摂取量が多い

野菜・果物・オリーブ油の摂取量が少ない

 

といった特徴がありました。

 

https://www.bmj.com/content/365/bmj.l1949

 

 

不健康な生活とセットになりやすいということです。

 

超加工食品を摂るから体調が悪くなる⇔料理するのが億劫になり、超加工食品で済ませてしまう

 

のは、納得のいくループで、私自身も経験しています。

 

 

参考までに、この研究での超加工食品の内訳は、

 

加工肉(15%、ハム、ソーセージ、チョリソ、サラミ、モルタデッラ、ハンバーガーを含む)砂糖入り飲料(15%)

乳製品(12%、カスタード、アイスクリーム、ミルクシェイク、プチスイスを含む)

フレンチフライ(11%)

ペストリー(10%、マフィン、ドーナツ、クロワッサンや他の非手作りペストリー、菓子類を含む)

クッキー(8%、ビスケット、チョコレートクッキーを含む)

 

という結果でした。

 

やはり、加工肉、砂糖の依存性は高いです。

 

 

まとめると、超加工食品(コンビニ食品)を食べると

 

太りやすくなる!

糖尿病になりやすくなる!

死亡率が上がる!

 

ということです。

依存性も高く、一度ハマると生活習慣が壊れやすくなります。

 

 

便利さ、手軽さの代償が、こんなに大きいのでは、割に合いません。

 

無駄に太らないためにも、できるだけ未加工の食品を選びましょう。

 

 

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この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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