Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
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【超危険】コーラででどのくらい血糖が上がるのか

 

果糖ぶどう糖液糖がいかに危険かは、前回説明したとおりです。

 

糖尿病の診療をしていると、その恐ろしさは身に染みています。

 

清涼飲料水500mlで、どのくらい血糖が上がるのでしょうか?

 

 

 

以下に、コーラの成分表を示します。

https://www.cocacola.co.jp/brands/coca-cola_/cocacola

 

原材料名 :

 

糖類(果糖ぶどう糖液糖、砂糖)/ 炭酸、カラメル色素、酸味料、香料、カフェイン

種類 :

 

炭酸飲料

 

エネルギー :

 

45kcal/100ml

製品名 コカ・コーラ
アレルギー
特定原材料
なし
栄養成分表示
100ml当たり
エネルギー 45kcal
たんぱく質 0g
脂質 0g
炭水化物 11.3g
食塩相当量 0g

 

 

材料はほぼ果糖ぶどう糖液糖と砂糖。

100mlあたり11.3g入っていますので、500ml飲めば56.5gの精製糖を摂ることになります。

しかも、液体として摂るので、吸収速度は最速。

あっという間に血液中に入ります。

 

インスリンが全く造れない1型糖尿病の方が10gの炭水化物(1カーボ)摂ると、血糖は50mg/dl程度上昇します。

 

 

つまり、コーラを500ml飲むと、

 

血糖は50×56.5=282.5mg/dl

 

も上昇することになります。

 

 

普段の血糖が100mg/dl前後ですので、400mg/dl近くになってしまいます。

 

診療している人間の体感としても、だいたいこのくらいですので、計算としては信頼できます。

実際、糖尿病患者さんがコーラを飲んだあと、血糖が500mg/dl前後になっていることが珍しくありません。

 

いうまでもなく、この状態は極めて危険です。

 

血液の浸透圧が上がり、脱水になります。

脱水になると、脳梗塞、心筋梗塞のリスクが高まります。

 

さらに、のどが渇くので、さらに清涼飲料水を飲むというサイクルに入りやすいということも知っておく必要があります。

ここでのどの渇きに従ってしまうと、救急車で運ばれることになります。

これは、もともと糖代謝にそれほど問題がない人でも起こります(ペットボトル症候群)。

 

インスリン分泌自体も低下します。

インスリンは、血糖が高い時に出ますが、このように極端に血糖が高くなると、出なくなってしまいます(糖毒性)。

なかなか血糖が下がらず、危険な状態が長く続きます。

 

感染にも弱くなります。

血糖が200mg/dlを超えると免疫細胞の機能が大幅に低下します。

(110mg/dl以上でも機能が落ちはじめるというデータもあります)

細菌やウイルスに感染しやすくなり、普通ではあり得ないほど重症になることがあります。

糖尿病は、新型コロナウイルス感染症の重症化リスク、死亡リスクを上げることは有名です。

 

 

自分は糖尿病ではないから大丈夫!と考えるのは尚早です。

 

糖尿病でなくても、ブドウ糖液糖入りの清涼飲料水を飲んだ後の血糖が200mg/dlを超えるのは珍しくありません。

全く血糖が動かない人もいますが、大量のインスリン分泌が必要ですので、

身体への負担という意味では同じです。

 

インスリンを打てば大丈夫かというと、そうではありません。

インスリン製剤は年々改良され、非常に早く吸収されるものができています。

ただ、液体で何十gも糖が入ると、血糖の上昇スピードが速すぎて、対応できません。

高血糖になった後の反応性低血糖を助長する可能性すらあり、かえって危険です。

 

 

なお、アスパルテームやスクラロースなどの人工甘味料であれば、血糖は上がりません。

しかし、人工甘味料は腸内環境を荒らすことがわかっていますので、避けた方がよいでしょう。

人によっては、砂糖よりも体重を増やしてしまいます。

 

じゃあ、何を飲んだらいいんだよ!

となります。

 

日ごろ飲んでよいのは水かお茶です。

カフェインが入っているお茶は、水分補給の意味では意味がないとされています。

ですので、原則としては水かカフェインの入っていないお茶です。

 

ただ、緑茶は健康に有益な効果が大きいので、積極的に飲んでよいでしょう。

 

https://glp-1-diet.com/2021/11/22/%e7%b7%91%e8%8c%b6%e3%81%a7%e4%bd%93%e9%87%8d%e3%81%8c%e6%b8%9b%e3%82%8b%ef%bc%81/

 

 

果物は果糖が多いからダメですか?

の答えは、その人の状態によります。

 

果物は、食物繊維やミネラル、ポリフェノールの複合体ですので、清涼飲料水のような血糖の上がり方にはなりません。

糖代謝に異常が無いのであれば、積極的に摂ってよい食品になります。

野菜、果物を多く摂ることは、病気の予防に有益です。

 

もちろん、大量に摂ると危険です。

みかんや桃を大量に食べて糖尿病を発症して受診する方は多いです。

特に、日本の果物は、品種改良(?)で糖度が不自然に高くなっています。

ぶどうや桃、メロンなどは、嗜好品として摂る程度にするのが無難です。

 

糖尿病と診断されている方には制限がかかります。

一般的な指導では、一日に摂ってよい果物の量は、その人のこぶし大までです。

ただ、糖尿病の病状には幅があります。

状態が良い人は、もっと摂ったほうが健康に良いかもしれません。

重症であれば、血糖が落ち着くまでは禁止したほうが無難なこともあります。

血糖を測ってみて、血糖が大幅に上がらない程度摂ることになります。

 

ともかく、果糖ぶどう糖液糖は、相当危険な代物であることは間違いありません。

 

 

健康に気を遣うのであれば、果糖ぶどう糖液糖が入った清涼飲料水は、飲まないのが一番です。

 

クリニックでも病果糖ぶどう糖液糖たものをやめていただくだけで、体調が劇的に改善する方が多いです。

果糖ぶどう糖液糖をやめるのは、かなり優先順位が高いです。

ちょっとしたことを変えるだけで、体調が変わり、人生が変わります。

これは、誇張ではありません。

 

 

私も以前は、それほど気にせず砂糖入りの清涼飲料水を飲んでいました。

特に、学生の時は、試験前に栄養ドリンクを多用していました。

知らないというのは恐ろしいことです。

もちろん現在は、果糖ぶどう糖液糖が含まれている清涼飲料水は飲みません。

食品添加物として果糖ぶどう糖液糖が含まれているものも、できるだけ避けるようにしています。

100%避けるのは難しいですが、自分がコントロールできる範囲では摂らないようにしたいものです。

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この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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