Oxfordで、GLP-1を研究していた糖尿病専門医が、肥満治療を考えます。
https://shigeto-cl.com/

【代謝350%アップ】冷水浴の効果

今回は冷水浴の話です。

こんな真冬に冷水浴の話?と感じていると思います。

しかし、代謝が大幅にアップするのなら、やってみたいという人もいるのではないでしょうか?

 

 

代謝を大幅にアップ!

 

水で体を冷やすと体温が下がります。

身体にはホメオスタシスという機能があり、体温を一定に保とうとします。

冷水を浴びることにより、全身の臓器で体温を上げるためのスイッチが入ります。

 

熱を造るためには、筋肉を収縮させなくてはなりません。

 

まず、副腎からカテコラミン、ステロイドホルモンが放出されます。

 

血圧、心拍数が上昇

肝臓から糖が放出され、血糖が上昇

 

することで、筋肉にエネルギーを運びます。

 

ですので、心臓病がある方、血糖が安定していない方は、無理してやると危険です。

どうしてもやってみたいのであれば、治療中の人は主治医と相談してからにしましょう。

 

 

※代謝を上げるためには14℃以下の水で

14度以下の水につかることで、代謝が350% も上がることがわかっています。

ノルアドレナリン、ドパミンの濃度が大幅に上昇します(530%、250%)。

 

ただし、若い人が1時間、肩までつかるという条件です。

さすがに条件が厳しいですが、冷水で代謝が上がるのは間違いありません。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10751106/

 

褐色脂肪細の活性化が期待できるという報告もあり、脂肪の燃焼効果もあると考えられます。

 

 

運動後の筋肉痛や炎症を抑え、疲労を軽減!

運動すると、筋肉に大量の血液が必要になります。

皮膚を冷水で冷やすことで、血管が収縮し、皮膚の血流が減ります。

その分、筋肉への血流を増やすことができます。

乳酸などの疲労物質が効率的に洗い流され、回復が早くなります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4049052/pdf/NAJMS-6-199.pdf

 

 

 

高齢者の認知機能アップ!

 

高齢者(平均年齢71.3歳)の水中での運動は、認知機能を高め、気分、不安のコントロールを改善しています。

これは、運動の効果が大きいと思われますが、とにかく、運動と冷水浴の相性は大変良いといえます。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34030045/

 

 

また、冷水浴で脳の血管は収縮し、脳血流が減ります。

これは悪いことのように思われますが、頭をスッキリさせる効果があります。

カフェインも脳血管を収縮して脳血流を減らします。

人間の脳は、集中すると血流が減ります。

 

これは、脳卒中のリスクにもなり得ます。

脳血管性の認知症、脳梗塞になったことがある人はやるべきではありません。

 

 

 

ストレスを減らし、うつ状態を改善

 

冷水浴で、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミンが大量に出ます。

これにより、気分の落ち込み、うつなどの改善が期待できます。

シャワーでも効果があります。

数分かけてシャワーの温度を下げてゆき、2-3分冷水を浴びるだけでもよいようです。

 

また、ストレスホルモンは減少し、エンドルフィンが増えます。

冷水を浴びた瞬間はストレスホルモンが急上昇しますが、その反応で体がストレスに対して強くなるようです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17689848/

 

科学的な証明が難しい分野ですが、落ち込みやすい人は試してみる価値があると思います。

 

 

免疫機能アップ!

 

冷水浴で風邪をひきにくくなるというのは、昔から言われています。

 

熱いシャワーと冷たいシャワーを交互に浴びることで、

 

29%も病欠の日数が減る!

さらに定期的な運動をするとさらに病欠の日数が54%減る!

 

という報告があります。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0161749

 

ただ、水の温度は10-12℃とかなり低め。

日本だと水道水の温度がここまで下がるのは冬だけです。

風邪をひきやすいのは冬ですので、冬こそやってみたいところです。

 

 

いずれの効果も、強制的に体温を下げることで、体の熱酸性を増やし、基礎代謝、基礎体温を上げた結果とも考えられます。

 

体温が高い方が、基礎代謝は高まりますし、気分もよくなります。

免疫機能も体温が高い方が有利になります。

風邪をひくと熱が出るのはそのためです。

 

生命は、厳しい環境に置かれると、それに適応しようとして強烈に反発します。

断食は、飢餓という刺激を与えて生命力の反発で病気を治します。

 

 

このように、身体に適度な負担をかけることで、生命力が高まることをホルミシス効果といいます。

 

冷水浴もこれと同じようなものです。

 

 

私も、風呂で温まった後は、冷水浴をするようにしています。

髄膜炎で倒れた後、少しでも免疫機能を高めようと考え、始めました。

 

最初は、体の状態が悪すぎて、冷水が怖くてできませんでした。

2019年の初旬はウイルスの後遺症で、常に寒気がしているような体調でした。

水を触ると吐き気がする有様だったので、とても無理です。

こんな状態で、いきなり冷水浴をするのは危険です。

 

ゆっくり慣らす作戦にしました。

まず、風呂から出たら足先だけでも水をかけてから服を着るようにしました。

そして、徐々に範囲を広げてゆきました。

暖かい季節になってからは、手足だけでなく、体幹、頭に水をかけても大丈夫になりました。

夏場は水温も高いので、初心者はここから入るとよいでしょう。

あせらず、年単位で慣らすつもりで計画しましょう。

 

現在は、真冬に冷水浴をしても、気持ちいいと感じます。

運動して筋肉量が増えてから、冷水が怖くなくなりました。

冷水を浴びた際に、熱産生をする筋肉が少ないと、体温が上がりにくくなります。

理論上も、冷水浴と運動はセットですね。

 

身体が冷えすぎるとかえって悪いので、自分が気持ちいいと感じる温度、時間で始めることをお勧めします。

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この記事を書いた人
しげとう・まこと●医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医。亀田総合病院、オックスフォード大学正研究員などを経て、2016年9月に開院。GLP-1に関する論文が国際科学雑誌に掲載されるなど、業績多数。国立滋賀医科大学の客員講師も務めている。2021年から洛和会音羽病院糖尿病内科部長代理、医療法人シゲトウクリニック理事長を兼務。
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